わたしのおっぱい私は昨年右乳房に非浸潤ガンが発見され、12月17日に右乳房全適の手術を受けました。 告知されてから入院手術までは3週間ほどしかなく、 実感も覚悟もないままにただ、ただ、流されるままに手術を受けました。 ですから、その後自分の体がどうなるのか、とか精神状態がどうなるのか、 まったく予測がつかないままだったのです。 リンパも検査のためにひとつとりましたが、手術は1時間ちょっとで、 眠りから覚めて第一声は、 「まだ終わっていませんか?それとも終わりましたか」 でした。それほど、自分でも短く感じたのです。 とてもあっけなかったというのが正直な感想でした。 あっけなかったけれども、頭はまっしろで何も考えられず、 手術が成功した喜びも安堵も本当のところはあまり感じなかったのです。 だって自分ではまだ、自分が手術を受けたことすら受け入れることが できなかったのですもの。 でも、いやがおうでも現実を突きつけられるときが、 どんなに実感がなくても受け入れなくてはいけないときがすぐにやってきました。 私の場合は、全摘出とはいえ、リンパは1つしかとらなかったので、 手術としてはあまり大げさなものではなく、3日後には洗髪OK、 5日後には入浴OKと手術前から説明は受けていました。 手術前は、「へえ!そんなに早くお風呂もはいれるなんてラッキー♪」 ぐらいに思っていましたが、手術の翌日、自分の胸をパジャマの上から触ってからは、 お風呂なんて一生はいらなくたっていいや・・と本気で思っていたのです。 「もう子供も産んでおっぱいあげることも無いし、 もともとそんなに大きくないから大丈夫よ~」 「未婚てわけじゃないからまだよかったかもね~」 「あらかたおっぱいのお役目はすんでるから、あまり関係ないかも~」 もともと女らしい性格ではなく、どちらかというと男に生まれりゃ良かったと 思っていたので、手術前は心配する家族友人にこんな強がりを笑って言うことが できていました。 でも、手術後パジャマの上から触ってみると、さすがにこんな風には 思えなくなっていました。 手で触れるとほんとうに綺麗さっぱりお山がなくなって、いえそれどころか、 お池ができていたから。怖かったです。悲しかったです。切なかったです。 いえ、どんな言葉でもあの感情は表すことはできません。 2日3日と日がたつにつれ、いつ傷口を見ようか、そればかり考えていました。 毎朝夕ドクターが診察しに病室へきてくださり、 傷口のガーゼも変えてくださるのですが、いつも眼をつぶっていたので、 傷口は見たことがなかったのです。 夜はやめよう。 雨の日はやめよう。 一人ではやめよう。 いろんなことがグルグル頭を巡り、605号室の四角い窓から ボーっと空を眺めてばかりいました。 4日目の午前中なんとなく、ちらっとパジャマの首元から覗いてみました。 ほんの少しだけ見えました。 そして涙が溢れました。 |